※この記事は実際にあった女性のトラウマエピソードを、こいとりライターが独自の調査・ヒアリングの上、執筆している『ノンフィクション記事』である。
「やぁこんにちわ! ワシは恋愛パトリールの鳥だ!」
「ワシにはある特別な任務がある。それはこの過去に戻れる「タイムマメーン」というタイムスリップ能力である。」
「そして、ワシのミッションとはこのタイムマメーンを使い、過去に恋愛でモヤモヤのある女性を前向きにすることなのである。」
「ん? どんな風にやるのかと? それは、この記事を最後まで読めばわかる!」
「お。今回のターゲットが見つかったようだ!」
「それでは、早速行ってみよう!」
(パタパタ!)
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♪パイナポーペーン〜パイナポペーン〜〜(今夜の合コン楽しかったな〜)
「そういえば、たくや君、今まで5人と付き合ったことあるって言ってたな…」
ポチポチ。
「げ、facebookに昔の彼女と写ってる写真あるじゃん!『いつもありがとう』ってケーキに書いてあるって、これ彼女確定じゃん!」
「サバサバ系かなぁ。別れてからも連絡取り合ったりしてんのかなぁ……」
「元カノのfacebookページは…非公開か!うー、気になる!」
バサバサバサ
「はい、そこの君、止まりなさい。」
「ちょっといい感じになると、突如その男の元カノが気になって気になってしょうがなくなるそこの君!」
「えっ…」(変な鳥キターー!? )
「変な鳥ではないぞ!! 」
「ワシは、タイムパトリール!」
「過去の恋愛における失敗やモヤモヤをその時代にタイムトラベルすることで解消するポリスだ!」
「過去の恋愛の失敗?なんのこと?」
「もうホシはあがってるんだ!」
「四の五の言わず君の過去に飛ぶぞ! ターーイムパトリーーーール!!」
♪マメ〜〜ン
—–20xx年6月都内某所——
男「付き合ってくれないか?」
女「ほんとですか!うれしい!」
「あそこにいるのが、君?」
「げ、あの男!!!!」
「思い出した! 殺してくる!」
「ちょ、ちょ、ちょっと待つトリ!」
「過去への介入は航時法違反だよ!」
「えー、あんなクソ男、生かしておいても地球上の酸素がもったいないだけだよ。」
「落ち着いて!」
「君は、そうやって強がるけど、このトラウマは結構根深い。」
「まずは、何かクソだったのかきちんと向き合って把握することが必要だ。」
男「付き合ってくれるのかい?」
女「ええ。」
男「俺、実はまだ前の彼女のこと引きずってて。それでも良いかな?」
「はい。」(傷ついているなら、話題にしないようにすれば大丈夫かな、、、。)
「『はい。』じゃねーよ!バカーーーーーーーーッ!!」
「バカバカバカバカバカ!」
「なるほど。」
「こうやって、あらかじめ承認をとっておいたのか。周到でこしゃくな奴だな。」
「それでは、付き合ってから2週間後に飛んでみよう!」
♪ピコンピコン
♪マメ〜〜ン
「2週間後にトラウマの山があるな。」
「何が起きたのか。現場に飛ぶぞ!」
—–20xx年6月都内某所——
男「俺、前の彼女に手紙書いたんだ。」
女「え? やり直そうって。」
「!!」
「そろそろ刺して良い?」
「待て待て待て!」
「前の彼女が戻ってきたら、君とは別れようと思ってる」
「!!!」
「うわああああ〜」
「なんだ、あいつ! なんだ、あいつ!!」
「どう考えても、ここで別れるべきでしょ。」
「なのに、別れなかった。と。」
「友達がこんなことしてたら、ソッコーで別れろ!って叫ぶのに!」
「なんでわからなかったんだろう・・・」
♪ピコンピコン
「1ヶ月後にもう一つ山があるみたいだ。」
「ここで何か決定的なことがあったんだ。飛ぶぞ!」
♪マメ〜〜ン
—–20xx年7月都内某所——
「思い出したわ…この場面。」
「彼氏の家で、チラシの隙間に置いてあった“前の彼女に書いた手紙の下書き”を発見してしまったんだ。」
「え!」
「1年後にはiPhoneが発売されるというスマホ創世記のこの時代に、手紙送っただけでも普通じゃない不気味さを感じていたのに?」
「下書き……。」
「下書きだよ! 下書き!!」
「もうこれ見つけた瞬間に、真剣さが伝わってきて、サーって引いたの覚えてる。」
「さらに、その内容が……」
ゴクリ
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元子さんへ
元子さんと別れてから、元子さんのありがたみがわかりました。
あなたという人がいながら、元カノの前子と二人で会い、指輪を買ったことを謝罪したいです。
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「ガーーーーーーーッ!!!」
「前の彼女と付き合っていた時も、その前の彼女のことをひきずってたことが発覚!」
「この男、呪いでもかかってるの?」
「この後、この手紙の話をしたら『人の手紙を勝手に読むなんて信用できない』とか言い出して、完全に責任転嫁ですよ。」
「さすがにこの下書きを見つけて、すぐに別れましたけど。」
「付き合う時に『まだ前の彼女のこと引きずってて。それでも良いかな?』って言ったことで、もはや自分は完全に悪くないって思ってるんだ……。恐ろしい。」
「今見てみたら、なんで早く気がついて別れなかったんだろうって思ったけど……。」
「当時、大学を卒業して社会人になってすぐで、年上の男性が無条件でかっこ良く見えていたんです。」
「年上の人だから、間違ったこと言っていても、正しいんじゃないかとか。ほんと私ってバカ。」
「年上って言っても、当時の君が22歳。相手は32歳じゃん!」
「10歳も上なのにこのカスっぷり…『年齢=その人の人間性の成熟さ』ではないということなんだな。」
「ちなみに君、もうすぐ当時の彼と同い年になるけど、同い年の男友達がこんなことしてたらどう思う?」
「…マジありえない!!」
「あーもう、ほんとむかつく!!!」
「やっぱり、もう一回過去に戻って、決着つけてくる!それ貸して!」
「ちょっ、まっ、落ち着いて!落ち着いて!」
「タイムマメーンは俺以外には使えないんだ。」
♪ピホパ
「過去への介入は禁止されているんだけど、例外的に“夢”として処理できる場合があるんだ…」
♪ペーン
「お!どうやら、君の受けたトラウマ度は、その例外のようだ!」
「!!」
「さぁ! いくぞ!」
♪マメ〜〜ン
—–20xx年6月都内某所——
男「付き合ってくれるのかい?」
女「ええ。」
男「俺、実はまだ前の彼女のこと引きずってて。それでもいいかい?」
女「うん。そうね。あなたが過去の彼女を引きずっているのは十分わかったわ。」
「でもね、、、。 好きな女がいるんだったら、私と付き合わなくていいだろーーー!」
「とりあえず、そこにある池で頭を冷やせ!! 持ってけ! 鯉のエサだ!!!」
ドボーン!
「ゼイゼイ…」
「めっちゃ、スッキリした。」
「私、あいつと別れてから、ずっと心にモヤモヤしたものがあったみたい。」
「多少過去を変えてしまったが、まぁいいだろう……。これからは過去じゃなくて未来を見て生きていくんだぞ!」
「トリさん、ありがとう。お陰でスッキリしたわ!」
「もう、同じ過ちは犯しません。よしっ、たくや君に今夜のお礼メールしよっと!」
「ねぇ。早く現代に戻してよ!」
「よし! 現代に戻って素敵な恋愛をするのだぞ!」
♪マメメーン
「自分の過去のトラウマとの離脱を確認したぞ。」
「君の過去のトラウマ。今回だけは特別に記憶のかなたに消し去っておくからな!」
「あ~、超スッキリした。」
「これからは、その人の過去じゃなくて未来を見て生きていこうと思います。」
「ありがとう!」
♪ピコンピコン
「お、次の事件が! では!」
バサバサバサ~